提言(反論、批判大歓迎)
   
「あ・は・き法」との軋轢に埋没し、既得権益を失うな!!(その6)



         「 閑話休題 」 此の四文字熟語を冒頭に持って来るのは些か気が引けぬでもない。前回の結びは 「カイロ
      プラクティックによって、確実に良くなった医師が居ても 、彼等は表面上自分達の業権死守の為其れを認め
      ない」だった。そして此が真実である事を認める医師も少なくない 。又、現実に当協会関連の施術所に通所
      した医師も数多いし、更に老舗の療術団体「全国療術師協会」が「財団法人全国療術研究財団」との共同で
      実施・運営している 「付属研修所」 の受講生中には医学博士の外科医師が在籍した事実も存する。又米国
      のカイロプラクティック・ドクター(D,C)の資格を有し、著書も物した医師も (医博)もあり、それ等を総合的に
      判断する時、著し医師達 (医師会)が利己的業権確保に現を抜かさず、国民的視野の下に実践的医療体系
      の確立を目するならば、カイロプラクティックをその一領域に包含する 「療術」 の有用性は国民的財産として
      の地位を確立する事と思料し得る。
       さて「閑話休題」の意図に立ち返ろう 。最近(10月)始まった北関東は某県の県議会で、某議員から所謂
      「療術規則」 の提案が為されると言う。それ自体は某県々民に取って結構な事で 、違法を眼前にしながら取
      り締りに踏み切れずにヤキモキしている司直、行政にとっても渡りに船と考えられるのだが、問題はその内容
      である。
       提案議員は自ら医業類似行為者の資格を有する熱血漢で 、全国的にも知名度の高い中堅のホープ 。同
      氏のホーム・ページを散見すれば 、所属業界の為に奮戦する姿が活写されている。所がその提案内容は如
      何にも旧態依然(陳腐)なのだ。
       即ち同議員氏の主張の要旨は 「自分達は苦労して資格を取ったのに、資格を持たない奴が同じ様な治療
      行為を無許可で行っている事は許せない。取り締まれ!」と言う事だ。
       此の主張は別に今回の熱血議員氏が初めてでは無い 。同様な主張は過去に何十回も繰り返され 、北関
      東や関西方面では議員達に依る行政(一部では司直)に対する「取締れ」の圧力が掛り、現実に無駄を承知
      で多少動いた県も有る。
       しかしそれ等の圧力や行政などの動きが奏功していない原因の求明は 、今日迄殆んど成されていないの
      が現実である。では何故出来ないのか…?
       原因の究明に先立って前述の提案議員氏、各圧力団体、そして行政(司直)に質問しよう 。貴方達は何を
      もって無資格者の行為を取り締まろうとするのか 、その法的論拠は何か。此の問いに対し取締方は言うだろ
      う 「教育も受けない無資格者が医業類似行為を行う事が違法だ」…と。
       一見もっともらしく聞こえる回答である。ではその回答は昭和35年の最高裁判所大法廷に於ける 「差戻し
      判決 」と如何なる整合性を持つのか、更には平成3年6月28日付、厚生省健康政策局医事課長通達の「 い
      わゆるカイロプラクティックの取り扱いについて」 との整合性をどの様に考え、実践しようとしているのか。本稿
      で度々取り上げて来た憲法解釈に基づく 「有害性の立証 」は、現在どの程度重要視されているのか。権威の
      下に取り締り、無資格者を潰そうと目論む向きは、先ず第一にその点を認識し、明確な統一見解を示した上で
      事に当るべきなのだ。
       例えば柔道整復等は基より、「あはき」諸氏に於てもカイロプラクティックに象徴される 「療術」の領域を取り
      入れて施術している向きは数多い。しかし此の場合 、柔整やあはきの有資格者と言えども、カイロプラクティッ
      クの免許等は持っていない。その分野に於ては無資格である 。第一その様な免許は日本国に於ては存在し
      ないのだから、それは当然至極な事だが 、しからば有資格者達は例えば法の下に許可された免許範囲を逸
      脱する特権を有しているのか。基よりそんな事は有り得ない。そうなると有資格者達は、許可された以外の方
      法と知り乍ら、無資格領域の施術を行い、日銭をかせいでいる事になり、法的知識を有せず、「安全なら良い」
      との信念の下に施術を続けている無資格者達よりも法を知るだけに罪が重いと言う事になりはしないか。
       その区分と安全受療の確立の為には、単なる潰す政策では無く 、広義な「療術」存在の現状を追認し無資
      格者の存在を正確に把握して「現任教育」を行い、行政の管理下に置く事が優先されるべきなのである。
                                                                 (以下続く)